=マテーオ・カルカッシ=


     

=今回のカルカッシの記事は、
  56年前の記事を、興味深く転載しました=

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 今日演奏会場に、

バイエルやツェルニーを聴くことはないにしても、

その役割に十分の敬意が払われているにもかかわらず、

ギター界にはそうした風潮がないことは、

根本的な勉学の浮薄をわたしには思わせる。

彼の教則本でも本邦では、

数社以上の出版があるようではあるが、

いずれも原形をとどめぬまで崩れ去って、

混とんとした状態にあり、

はたしてカルカッシの意図がどこにあったかも判別しがたい。

現今入手できるこの教則本のもっとも原点に近いものは、

ショット出版のフェデリーコ・サッキ編集したものである。

 彼の肖像で今日残っているものは、

不完全ながら掲げた写真版の物しか見当たらない。

 全作品の紹介はいずれかの機会に譲るが、

彼の作品には楽譜に示すような、

歌曲の変奏曲が多数ある。

七番、九番、十二番、十五番、

十七番、十八番、二十番がそれで、

主として当時一般に愛唱されたものを、

カルカッシ一流の技法でまとめたものである。<つづく>


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