=マテーオ・カルカッシ=


     

=今回のカルカッシの記事は、
  56年前の記事を、興味深く転載しました=


 カルカッシは1792年フローレンスに生まれ、

1853年、パリに客死したイタリアの著名なギタリスト。

28歳の時に当時の音楽家のあこがれの地で、

また檜舞台でもあったパリに出た。

これより前にオーストリアの各地にギター演奏旅行して、

成功をおさめ、彼の名はすでに注視の的になっていた。

主要な出版社からはその作品は懇請され、

その最初の作品は、

メイエンスのショット社から出版されたが、

以後大半の作品は、

彼の無二の友でありギタリストでもあり、

出版業を営んだメーソンニエールから出版された。

その後、これらの作品の出版はショット社に継承され、

筆者の若いころは自由に購入することができたが、

今日では大半がカタログから抹殺されて、

事実上入手できない状態にある。

 1822年、ロンドンに演奏会を開いて成功を収めて以来、

毎年この地を訪れてギター愛好家の渇望の的となり、

演奏と教授に多忙を極めた。

 当時、同郷の先輩のカルリはパリにあって、

上流社会の後援と寵愛を一身に集めて、

羨望すべき境遇にあったが、

カルカッシの若々しい華麗な作曲スタイルと、

熟達した奏法は、カルリの牙城に迫り、

新しきを追うパリ人は、

次第にカルカッシに傾倒していった。<つづく>


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