That エッセイ once again

                              


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                当教室に在籍して早18年。
                  アンサンブルにも参加して元気にギター弾いている。
                   マダムにギターを始めたころの思い出を、
                    以前語っていただきました。
                      今回再び掲載したいと思います
                         大陸育ちのお話は興味が尽きない。
                          もう一度詳しくお話していただき、
                            加筆しながら紹介したいと思います。
                              かなり貴重なお話であり、
                              歴史の証言の意味合いもあります。


      
=ギターを弾こう(最終回)=
 
 ギターを弾くのに悪戦苦闘して講座に通っているうちに、

仕事が徐々に忙しくなって来ました。

それまで考えもしなかった残業というのが出てきました。

今でこそ残業などは当たり前と考えるのでしょうが、

私が勤め始めたころは仕事ものんびりしたもので、

定時になるといっせいに帰り支度をするという時代でした。

仕事が終わるとラッシュの電車に、

突撃して運んだギターを持って出ます。

出口につくまで会う人が言うのは「それ何?バイオリン?」

「違うわよ、ギターよ!」と、何度答えたことか・・・・。

このころギターを習うなどということは一般的ではなかったし、

クラシックギターを知っている人が、まずほとんど皆無だったと思います。

しかも若い女性の習い事ということは、一番多かったのがお裁縫、

お茶、お花というのも、もちろんありました。

ギターを抱えてればなんなんだろうと思われるのは当然でした。

 しかし、残業というのが出てくると次第にお休みも多くなっていきます。

一緒に通っていた友達もその辺の事情は一緒で、

残業ということになれば、そこでお互い無言の同時欠席です。

ただでさえ四苦八苦の状態でしかも休みがちになれば、

ますます講座に行った時に弾けません・・・・。

講座が終わってみんなとおしゃべりして帰ってくるのですが、

なんとなく気分が重くなっているわけです。

今考えてみると、危ない曲がり角を曲がる寸前にいたということです。

やめようかどうしようかという・・・・。

 こういう気分というのは、今も昔も変わらないものですね。

この年になるとさすがに、今からやめようとは思いませんが、

若い人は、このときの私と同じように、

いろいろ思いをめぐらせるんじゃないですかね。

 時代が変わっても人間の気持ちというか気分というか、

ほとんど変わらないということでしょうね。

仕事の状況は厳しくなる一方でしたが、

しぶといのが取り柄のひとつになってるわたくしとしては、

お線香よりも細々と続いていたわけです。

ほそぼそ続いていたのですが、

わたくしにも結婚というものがいよいよ迫ってきました。

そこから長い中断期があったのですが、

子供たちも独立して時間ができたところで、

再びギターを弾こうという気持ちになって、

教室の門をたたいて今に至りました。

2020年 1月で、私も91歳になります、

ギターの仲間に囲まれていることで元気に過ごしていられます。

今のところ全然ボケもありません。

まだまだ頑張ってギターを弾いていこうと思っています。

では、令和も新しい年を迎えたところで、

私の思い出話も終わりにしたいと思います。

長らくお付き合いいただいてありがとうございます。<完>


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