オニクマさんの
   
スペイン旅日記


          



カタロニア地方

 カタルニア地方の中心都市であるバルセロナの華やかさとは離れて、

今日は、中世の面影が色濃く残る田舎町の「トッサデマール」とパルスを訪れる予定だ。

バスはしばらく高速道路を東北に進み、

その後「ヨーロッパの美しい街道・道20選」の中世の街並み街道を走る。

市街地から1時間少々で到着した。

 カタルニア地方と言えば、ギターを弾いている人はコンサートや発表会でおなじみの

「聖母の御子」や「鳥の歌」など数々のカタルニア民謡を思い起こすだろう。

作曲者リョベートはタレガの一番弟子であり、

生まれ故郷のカタルニアに伝わる古い民謡をクラッシックギター向けに編曲し成功した。

そういえば今年の発表会でも「アメリアの遺言」と、

「盗賊の歌」のタイトルがプログラムにありましたね。

 今日の訪問地は、カタルニア民謡のゆったりした雰囲気そのものだった。



  トッサデマールはバルセロナとフランス国境の中間地点にある海岸都市である。

私達が訪れた日は日曜日で、

たまたまトライアスロンの大会が開催されている最中だった。

城から見下ろす海岸は美しい紺碧で、

スイムのコースを示す浮きが白く揺れている。

大会ともなれば、

相当数の参加者や黄色のシャツのボランティアがいて注意を促す

関係者の声が時々マイクを通して聞こえるものの、

ビーチにはパラソルが幾つも並び、人々は我関せずと日光浴を続け、

マイペースで面白い。

  海岸から街に入った。

細い緩やかな坂道が幾重にも別れ、ひとりでは迷子になりそうだ。

と、ものすごい熱気を感じると、大群が私達の横を走り抜けていく。

スイムとバイクを終えたトライアスロンのランナー達が最後の種目ランに挑んでいる

ところだった。車がようやく通れるほどの小道なので、私達は立ち止まって、

端に身を寄せ、声援を送ることにする。
 



 予想外の競技観戦を終えたあと、

更にバスで40分走ると、そこはローマ時代の景観が残る村パルスだ。

到着したのが正午前だったにもかかわらず、道にはほとんど人通りがなく、

城塞のある丘の上へ石畳の坂道を右へ左へと折れる。

道の両脇には石造りの家がびっしり並び、

まるで中世にタイムスリップしたかのように

ゆっくりと時間が流れている。

ここが「スローシティー」と呼ばれているのも頷ける。




   

 ガイドさんによると、スペインはフランスに次ぐ世界第二位の観光大国であるが、

ここまで足を延ばす日本人はそう多くはないとのこと。

しかし近年インターネット等で紹介されると観光客も年々増加していて、

今後は益々増えるでしょうとのことだった。

お近くに行かれた際は、是非立ち寄られることをお勧めします。

  カタルニア地方の原風景を心行くまで堪能した後、

2
時間かけてバルセロナに戻った。

遅い昼食を済ませると、明朝の帰国までの自由時間は 3時間ほどしかない。

街の中心にあるランブラー通りに出てみようということになった。

そこで サッカー教室に通う三人の孫達へのお土産に、

スペインのユニフォームを買って、この旅を終えることにしよう。

 …・お疲れ様でした! =完=


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