オニクマさんの
   
スペイン旅日記


          



   アルハンブラの思い出

 スペインは初めてだった。

噂に聞くアルハンブラ宮殿も初めて訪れた。

それはスペイン南部アンダルシア地方のグラナダ南東の丘にある城壁宮殿である。

混雑を避けるツアーの計らいで、

宮殿の門前のホテルに宿泊したおかげで開門と同時に入場。

ひんやりとした空気の中をゆっくりとガイドの案内に耳を傾けながら進む。

建物は白を基調としているものの、

アルハンブラはアラビア語で「赤い城壁」を意味するように、

朝陽を浴びて建物全体が朱色がかったベージュ色に染まっていた。

一日八千人の入場制限があるとはいえ、ガイドの話によると、

あと一時間もすれば大混雑になり、写真を撮ると人の頭ばかり写るそう。







 そもそも歴史に疎い私がアルハンブラの名前を意識するのは、

ギターを習い始めて初めて行った荘村清志のギターコンサートで、

「アルハンブラの思い出」を聴いてからだ。

実際丘の上に立つと、作曲者タレガの感性に共感せざるを得ない。

それはトレモロが優しく、もの悲しく、美しく、丘にそびえる朱色の古城と、

その中で繰り返される様々な想いを抱えた人々の営みを連想させた。

荘村のコンサートには その後何度か出かけたが、彼が必ず最後に弾く曲で、

得意とするのと同時に、ギターの名手の証である曲のようだ。

そういえば、ギターを弾かない人でも、

「禁じられた遊び」と「アルハンブラの思い出」は知っている人が多い。

私がギターを習っていると分かると、

「アルハンブラ」を弾いてと頼まれることがある。

知らないということは怖ろしい・・・。







 明日はフラメンコ鑑賞。=つづく=


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