宮尾さんの

      ジャムって語ろう、ジャズ




                    
                       宮尾聖晴氏








―ギリシャのマイルス、ただただ感激!−


駐在を終えて日本に帰ってからも海外出張が多く、

いろいろな国にでかけました。

 スケジュールが忙しく、

なかなか出張先でジャズや音楽のコンサートにいくような時間がなく、

宿泊先のホテルでお酒をのみながらバンド演奏を聞くパターンがせいぜいでした。

ただ東南アジアの上級ホテルに出ているバンドは総じてフィリピン系でレベルが高く、

ジャズ、ロック、ポップスいろいろなジャンルを聞かせてくれるので、

それも十分エンジョイできました。

フィリピン人というのは音楽の面では本当にすごいですね。

 

 最大の幸運はギリシャ出張時におこりました。

時は
80年代の中ごろ、

当時ギリシャにある合弁会社の関係で、

パートナーとの交渉が難航し3週間の滞在となりました。

いよいよ問題も解決し明日帰国というときになって、

今晩アテネの丘にある野外劇場で、

ジャズメンがきて演奏するらしいというニュースが飛び込んできました。

ギリシャとジャズのとりあわせは想像もつかず、

名もないバンドかなと決め付けていたところ、

なんと名前を聞いてびっくり!。

マイルス・デビスだったのす。

夕方仕事ほっぽり投げて駐在員と乗り合わせて丘の上にいくと、

ギリシャの歴史的な野外劇場のなかで、

あの怖そーな顔したマイルスとそのバンドメンバーがたっているではありませんか。

それ見ただけで体中鳥肌状態です。

演奏がはじまると観客は興奮のるつぼ。

私も興奮のあまり、最前列に割り込みカメラのシャッターをきりまくりました。

おかげでマイルスからこの日本人態度悪いぞといった顔でにらまれてしまいましたが、

マイルスと目があったのも貴重な体験と勝手にきめつけ、

おくすことなくそれからも写真をとり続けました。

マイルスは当時すでにフュージョン系の演奏をしていましたので、

知っている曲はあまりありせんでしたが

(シンディーローパーのタイム・アフター・タイムと

マイケルジャクソンのヒューマン・ネイチャーのみわかりました)

音色もすばらしく、バンドとのコラボレーションも良く、内容は最高でした。

翌日の出演者はなんとハービーハンコックということでしたが、

さすが帰国命令にはそむけません。

交渉が長引いたおかげでマイルスが聞けたという、

幸運に恵まれただけでも良としなければと帰途についたわけです。

 

このように外国人プレーヤーのライブを長年聞いてきましたが、

最近は日本のプレイヤーの実力がすばらしくなってきたので、

かれらの演奏も聞くようになりました。

ライブコンサートは内容の良しあしはともかく(ほとんどが良い内容でしたが)、

どれもこれもすばらしい体験で、

ふりかえると当時の自分も生活、仕事なども思いだされ、

本当に思いきって行っておいて良かったと思っています。





                     メニューへ



                     topへ