エッセイ







     ♪♪♪♪♪私の楽器物語り(10)♪♪♪♪♪





 

 無理な練習が祟った私はついに接骨院に通うようになりました。

 医者の話によると、右手首の筋が炎症を起してはいるものの、

腱鞘炎までは行っていないとの事。

治療方法は電極につながった薄い板状の物を患部にあてて、

電気を流して温め、その後軟膏を塗り込むようにマッサージをすると言う、

いわゆるカイロプラクティックと言うものでしょうか。

 こういった症状は時間を掛けて治す以外にないのでできるだけ毎日通うように言われ、

必ずウォーミングアップをしてから練習をする事、

練習の前後と入浴時にはストレッチをする事、

ギターを弾く時は必ずテーピングをする事等のアドバイスを受けました。

 このあたりからギターを弾いている写真は、

すべてテーピングをして弾いている姿で写っています。

 本番がある時は必ず周りに人に「どうしたの?」の聞かれ、

その度にいちいち説明するのが面倒くさいほどでした。

 まったく、厄介な事になったものです…。(-_-;)

 

本当は症状が緩和されるまで演奏活動を控えて、

大人しくしているのがいいんでしょうが、

私の性格からしてそんな事は出来るはずがなく、

テーピングをしながら手になるべく負担が掛からないように騙し騙しギターを弾くものの、

教室の発表会はもちろん、

外から誘いを受けるコンサートも普段どおり何とかこなして行きました。

やっと自分なりの演奏活動ができるようになった時にこんな事になってしまって、

人生とは本当に思い通りにならないものですね。

 

そんなこんなでまた3年ほど経った秋、

今まで使っていたハウザーV世がどうしても思うように音が出ないし、

手の調子も痛みは軽くなったものの小康状態を保っているので、

この辺でもっと音が楽にだせる楽器に買い換えたらどうかと言う話になり、

また先生との相談が始まりました。

この頃あたりからギター界にもジョン・ギルバート、グレッグ・スモールマン、

ポール・ジェイコブソンと言った今までとは違う新しいギター工房が現れ始めた頃で、

「次世代の巨匠」としてしきりに宣伝されていました。

ところが実際楽器の音を聴いてみると、

確かに大きい音は出るのですがどうも今までのギターの音とは随分違って、

音に「魅力」が感じられないのです。

いくら手ごろな値段で購入できるとは言っても、

弾いていて自分が満足できなければ購入しても意味がありません。

それに今までかなりの金額を楽器に費やして来た事を考えると、

もうこの辺で楽器購入は最後にした方がいいのかな…、と言う思いもあり、

それなら尚の事慎重に考えなければなりません。

こうして思案に暮れていると、

今まで楽器を購入してきたギターショップで、

「ハウザー・フェア」が開催されると言うニュースが飛び込んで来ました。

「購入するしないは別として、参考の為に見に言ってみたら?

今回はかなりいい楽器が出ているって噂だよ」と言う先生の勧めもあって、

「それもそうだな」と思い次の休日に早速偵察に行ってみることにしました。

 

本当は「またハウザーか…」と思ったのですが、

今回の「ハウザー・フェア」はほとんどがU世だと言う事なので、

また一つ上のランクの(と言うより、世界的名工の)楽器の音を、

自分の耳で確かめるのも勉強の内だと言う思いと、

もう一つあるきっかけがあってフェアを見に行ってみる事にしました。      

そのもう一つのきっかけとは、この12年前だったかにイギリスのギタリスト、

ジュリアン・ブリームの来日公演があって、

ハウザー1世でスペイン物を演奏するコンサートを聴きに行ったのです。

その時のハウザーの音と言ったら!!

ほどよく「枯れた音」とはまさにこの事かと思うくらい、

ハウザー特有の厳格な部分は残しつつも、

音に丸みと甘さが生じて実に素晴らしい音だったのです、

(今でも強く印象に残っているのはファリャの「狐火の踊り」です)。





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