My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

    【第8章 ギタリスト列伝〜〜】



 
 前章では、かなりマイナーなリュートの世界について熱く語ってしまったが、

今回からはオーソドックスなギタリストの話に移る。

原則として生で聞いた演奏家の思い出を中心に展開していきたい。






【ナルシソ・イエペス】


 
 世界的に圧倒的なネームバリューを持っているし、

来日回数も多いしで生で聴かれた方は相当たくさんいると思う。

Gutaromanieさんに至っては、

マスタークラスまで受けたという。

(さらにそのためにラミレスまで購入したというから凄い。

まさに
the first lady of野村ギター教室と言えるだろう。)


 とにかく「ギターの虫」というか、

「アンタも好きねえ(by カトチャン)」というか、

そういう熱意がびんびん伝わって来る演奏である。

ほぼ独学に近い形で基本的な演奏方法を習得している点でも、

究極のオタクギタリストであると思う、

(弾けるようになってからは音楽学校で勉強してはいる)。

セゴビアとは異なる形で、

演奏方法やレパートリーに革新をもたらしたわけであるが、


 なかでも10弦ギターの使用は、

多くのギタリストや聴衆にインパクトを与えたと思う。

しかしながら多弦ギターは、

その演奏困難性から継続して弾き続ける人が少なく、

その内歴史の闇に埋没してしまうのだろうと、

個人的には予想している。



 とにかく精力的な人で来日経験も多く、

従って、私が生で聴いた回数もブリーム先生より多い。

一回の来日で2度聴きに行ったこともあるが、

何回聴いても目減りしないというか、疲れを感じさせない演奏であった。

奏法やレパートリーはかなり特殊な部類に属し、

残念ながらイエペスだからこそ効果が上がるというものが多いので、

普通の人がマネするようにはできていない(右手小指まで使ったスケールとか)。

生で聴いて特に印象に残っているのは、

アランフェス協奏曲(とにかく音が良く通る)と、

プジョールの熊蜂(とにかく早くて凄い)である。

精力的に活動しすぎたせいか、

1997年69歳の若さ(100歳ぐらいまで大丈夫そうだったので)

で、お亡くなりになっている。

山のようにアンコール曲を弾いたあと「これが最後です。」

と、日本語で笑いを取ってから弾いた「愛のロマンス」が、

イエペスファンには懐かしい思い出となっていることだろう。






若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





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