My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

    【第8章 ギタリスト列伝〜〜】



 
 前章では、かなりマイナーなリュートの世界について熱く語ってしまったが、

今回からはオーソドックスなギタリストの話に移る。

原則として生で聞いた演奏家の思い出を中心に展開していきたい。






【ジョン・ウイリアムズ(終)】




 
というようなわけで、

始めて彼の生演奏に接したのは1990年代になってからであった。

場所は赤坂のサントリーホールであったような気がする。

このときもPAを使用していたが始めは少し「え?」という感じがしたが、

しばらくすると音質は全く気にならなくなっており、

逆によく聞こえるのでこの方が楽とまで思うようになった。

もともと彼の録音も残響の多いホールっぽい生音というより、

ギターに近い位置にセットしたマイクで拾ったサウンドホール間近、

というような音質なので、日頃耳にしている音との違和感もなかった。

演奏に関しては、まあ危なげというものが一切なく、

基本に忠実に基礎的なテクニックを極めるとこうなるという好例という感じで、

言うは易いがこれができる人は世界中探してもほとんど見当たらない、

というくらい難しいことなのである。

 アランフェスでもシャコンヌでもまるで練習曲でも弾くような感じで楽々と、

(傍目にはそう見える)弾いている。

当日も、冒頭の曲がビバルディの合奏曲を、

独奏ギターに自分で編曲したものだったが、

とにかく、こういう曲想が前へ前へと、

つんのめって行くような感じの曲を弾かせたら、

まさにこの人の独断場である。


 アンコールではシンドラーのリストという映画の主題曲を、

ソロギターにアレンジしたものを弾いたが、

これはハリウッドの映画音楽の作曲家のジョン・ウィリアムス作曲であり、

弾く前に「シンドラーのリストのテーマ曲を弾きます。

ジョン・ウィリアムスという人の作曲ですが私ではなく誰か別の人です。」

というギャグというほどのものではないが軽いジョークを飛ばしており、

やさしい英語で言ったのでほとんどの客が理解し、うけていた。

カヴァティーナもそうであるがこういう叙情的な曲も上手で、

やはりこの人は
King of the Guitarと呼ばれるだけのことはあるなと思った。

それにしてもリオナ・ボイドの
the first lady of the guitarという呼称も、

インパクト大ありで、

数ヶ月前に本稿で言及したのを突如思い出して、

またここで無意味に紹介してしまったほどである。

リオナ・ボイドがこの次に来日したら絶対聴きに行くんだけどなあ。

誰か呼ばないかなあ。

 






若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





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