My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

   【第7章 リュート演奏家列伝〜〜】





【コンラート・ユングヘーネル】




 リュートの復興に多大な貢献のあった、

ドイツのミヒャエル・シェーファーのお弟子さんである、

ユングヘーネルさんの演奏は、

1981年に大阪音大の楽器博物館のレクチャーコンサートで聴いた。

記憶は定かでないがその翌年(または同年)京都で、

ソロコンサートを聴いた記憶もあるので、

氏の演奏が相当気に入っていたようである。

演奏水準も高く、かつ歴史的にも正統派の演奏であり、

これはもうどこへ出しても恥ずかしくないと言った類のリュート演奏である。

演奏に感動した筆者は調子に乗って、

レクチャーコンサートの後の座談会にまで出席してしまい
(聴衆の参加者は10名弱だった)、

ジュリアン・ブリーム先生のリュート演奏をどう思うかという馬鹿な質問をした。


 バッハのリュート曲など、

一回バロックリュートの生演奏(当然名演奏)を聴いてしまうと、

ギターでの演奏などアホらしくてやる気が失せるか、

または10弦、11弦ギターといった、

禁断の多弦魔境へ陥るかのどちらかであり、

決して青少年に自信を持ってお勧めできる種類の音楽ではない。

多弦ギターで納まればまだしも、


 リュートに手を出してしまうと一生ギターに帰って来ない人も多く、

現在のリュート奏者はプロ・アマを問わず、

ほとんどギター界からの「転び」派である。






【つのだ たかし】




 
横浜山手にあるイギリス館(当HP内:後藤さんのエッセイ参照)にて、

サロンコンサートを聴いたのは、確か1990年ごろだった。

同氏はルネッサンスリュート奏者であるが、

興味深かったのは吟遊詩人のバラードを弾き語りしてくれたことだった。


 いきなりジャズの話になるが、

You’d be so nice to come home toという歌で一世を風靡した、

白人女性ジャズボーカリストの、

ヘレン・メリルという人のアルバムで聞いて知っていた、

Black is the color of my true love’s hair.という曲は、

実は昔々のフォークソングであり、

つのだ氏のリュート弾き語りの中の一曲でもあったが、

聞くまでは同じ曲とは認識していなかった。

聴いたとたん同じ歌なのでびっくりもしたし、

またジャズでもリュート伴奏でも結局同じ歌なので、

同じように聴こえるという当然の事実を確認した。


 氏の演奏はあまり肩に力の入っていないもので、

リュート音楽のある一面を確実に伝えていたと思う。

演奏の間の氏のトークも軽妙であり、

ギタリストになるのはコンクールやら何やらで非常に大変だが、

リュート奏者にはすぐなれる、

という発言は妙に説得力があった。

まだ20歳代だったのであやうく真に受けて道を誤るところであった。



若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





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