My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

   【第7章 リュート演奏家列伝〜〜】






【ジュリアン・ブリーム】



 実際ブリーム氏のリュート生演奏に接したのは、

1979年一回きりであるがレコードは数枚所有している。

氏のリュートは金属フレットをネックに打ち込んであるタイプで、

歴史的にはそのような楽器は存在しなかったので、

正統的とは言えない。

また昔の絵画による演奏姿勢の観察と、

歴史的楽器のコピーを実際に演奏した上での推論によれば、

昔のリュートはほぼまちがいなく、

爪では断弦していなかったという事実があり、

その意味でも、

ギターのように爪で弾く氏の演奏は正統的とは言えない。



 しかし、この種の楽器の演奏家として、

圧倒的な名人芸を持っている、

ブリーム氏のリュート演奏を耳にするとき、

上記の議論は実に瑣末なことのように思えてくる。


 始めて聴いたリュートが、

ブリーム氏による歴史的には決して正しくはないが、

音楽的にはとてつもなくすばらしい演奏だったことは、

その逆(歴史的には正しいが演奏水準という点でぱっとしない演奏)、

に比べてはるかに幸運な体験であったと確信している。





若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





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