My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

   【第6章 私の楽器遍歴〜つづき七〜】





 リュート音楽はルネサンス期、バロック期に殷賑を極めたが、

その後演奏の伝統が完全に途絶えた時期があったこともあり、

一般に知られているリュート曲は全レパートリーのごく一部、

まさに氷山の一角である。

そのさらに一角であるダウランドの曲をせっせと演奏していたのである。

因みにイギリス人
10人に聞きましたということで、

Do you know John Dowland?という質問を色々なイギリス人にしてみたが、

(もちろん数年間かけてたまたま出会うイギリス人に聞いたのであるが)、

知っている人は皆無であった。

ブリーム先生ですら知っている人は一人だった。

日本人が突然外国人に、

室町時代の琵琶法師の名前を聞かれるようなものであったのかもしれない。

 
 アリアのリュートは当然ながら手に入るリュートの中でも最低の価格、

最低の音質であることは当時の常識であり、

アリアのリュート以外はみな受注ベースの手工品なのだから当然である。

私も
8万円のリュートの音色に文句を言うつもりは毛頭ない。

それでもリュートはリュートである。

抱えるとツルツルすべるし、ネックは異様に太いし、

さらに目がくらむほどたくさん弦が張られているしで

(因みに
8コースでは15本になる)、

通常のギタリストが遊びのつもりで手を出すと、

やけどをすることになる(それほどのことか)。


 まったく独学というのも心許なかったので、

祖父の紹介でダンスリー・ルネサンス合奏団の主催者でリュート奏者である、

岡本一郎先生のご自宅に伺ったことがある。

この合奏団は関西における古楽器アンサンブルの草分け的存在であり、

1970年ごろ設立されたというから、

もう
30年以上ルネッサンス音楽一筋でやっていることになる。

2
時間程度西宮市のご自宅にお邪魔して、簡単なレッスンを受けたり、

僕のビオラ・ダ・ガンバと岡本先生のリュートで即席二重奏も演奏した。

(ビオラ・ダ・ガンバといっても通奏低音なので


2
小節の決まった音形を延々と繰り返しただけで、

これなら素人でも演奏可能である。)





若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





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