My life in guitar music



                
                   
長井 浩氏





  

   【第6章 私の楽器遍歴〜つづき五〜】





 
実際弾いた感じは、

音程が正確、非常にクリアで分離の良い音、適度なパワー、

逆に少しのタッチの差が音質の差となって現れやすいため、

音色のコントロールが大変そう、といったもので、

全体の印象はスペイン的というよりはドイツ的なものであった。

しかしドイツ的というのとも少し違って、

やはりアメリカ的というのが正解なのだろう。

新品であるがゆえに何の色気もない素直で、

クリアーな音質というのがまあ気に入った。

ここでダメ押し的に先生は、

「まあすぐに結論出さなくてもいいからさ、

持って帰って弾いてみれば。」とおっしゃった。


 常識で考えて、

一週間飼ったら犬の仔でも何でも情が移るのは理の当然であり、

楽器とて例外ではない。

ことに先述のYAMAHA GC15Mという比較対象があるのは、

本器の優位性を際立たせる上で有効に作用した。

100万円と200万円の楽器の違いは、なかなか判別しがたいが、

15万円と100万円超の楽器にはやはり大きな隔たりがあり、

弾き比べればその差は歴然たるものがある。

ということで持って帰った時点で勝負あったという感じで、

結局
100万円は現金で残りの30万円を分割払いで購入することになった。

 この楽器も十数年を経過し、

特に最初の数年間はかなりの量を弾いたため、

今では結構いい感じに熟成してきた。

線の細い神経質な短所の部分はあまり目立たなくなり、

逆にクリアでよく鳴るという長所が伸びてきたように思う。

松の楽器に顕著な特性だが、高い金を出して購入しても、

じっくり弾きこまなければ、

本当の楽器の持ち味が出てこないということを身をもって経験した。

 この楽器をプロで使っている人はあまり多くないが、

いかにもアメリカンな楽器ゆえ、

アメリカ人ギタリスト(アンドリュー・ヨーク、スコット・テナント)に、

使用例が見られる。

現在ヨーク氏作曲のサンバーストを練習中であるが、

同じ楽器で弾けばヨークさんと同じように弾ける筈である。

(なわけないです、はい。)


 実際プロの使っている楽器に対する興味は、

中級以上の人が共通して持っていると思われるが、

下記サイト(米国の個人サイト)に、

古今の名ギタリストが使用した楽器のリストが載っている。

細かいところはわからないがだいたいにおいて正確ではないかと思われる。

http://www.geocities.com/hyz_sg/theguitarsofnotableclassicalguitarists.html(クリック!!)

あこがれのギタリストと同じ楽器で弾けば、

同じように演奏できるようになるのでは、

という妄想はすべてのアマチュアに共通するものであり、

僕自身ロマニロスで弾けば、

ブリーム先生に一歩近づくことが可能であるといまだに信じているのである。





若かりし頃へのリンク 社内報に載ったときの写真あり





                        メニューへ
 




                 topへ