マダムI・T
=思い出(その七)=
会社での仕事が終わり、退社時間となりました。
その当時というのは、まだ仕事ものんびりしていて、
5:00ぴったり退社になるのです、
今ではとても考えられないことだと思います、
仕事の内容も特別ハードということもなく、終わっても元気いっぱいでした、
そのままだと良かったのですが・・・・・・。
一緒に習いに行くことになっている友達と会社を出て、
お腹がすいては気合も入らないので会社の近くの食堂で、
二人で簡単に食事をして出発です。
九段下のバス停から上石神井行きのバスに乗り、
東大久保のバス停で降りる。
これから初めてのところに出向くというのですが、
そこではそれほどの緊張感もなくバス停で降りました。
九段下から東大久保までものの15分だったしょうか、
あっという間に着きます。
今だったらちょっとどうでしょうか、15分というのは無理ではないでしょうか、
その当時は、車もほとんど走ってなく、
道路もすいていて渋滞という情景はまったくありませんでした。
バス停から指定の場所に少し歩いて到着、
ハッキリしたフルネイムは忘れてしまいましたが、
声専という学校だったと思います、今もあるのでしょうか・・・・・
声楽専門学校ということだと思いますが、はっきり分かりません。
まあ、かなり昔のことですからもう無いかもしれませんね。
その建物の前まで来てびっくり・・・・・・・
とにかく古い建物でした、戦争で焼けなかったということでしょうか・・・・・。
中に入ると、いまいち薄暗い照明の廊下、
しかし、ギターレッスンの会場は入ってすぐの右手の部屋でした。
友達とエイッと、ドアを開けると、
なんと!建物の印象とはちょっと違った明るい照明の中に、
30人くらいの人がいて、すでにギターを出してそれぞれ弾いていました。
しかも、パッと見た目には全部男性・・・・・・、
友達と思わず顔を見合って(どうしよう・・・・・)と困惑してしまいました、
それに、皆ギターを入れているケースがハードケースではありませんか、
ビニールの袋に入れているのは我々だけです、
なんともいえない気後れ状態・・・・・・・・・です。
しかし、ドアに立ったままでいる我々二人に向かって、
講師の鈴木 巌先生が「ハイ中に入って、ここに座って!」と強引に席に座らせました。
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