ギター室内楽演奏記



                        




 初めて室内楽に参加させて頂いたのが去年。

ショパン『VARIATION(主題と変奏)』、

グリーク『民謡』『妖精の踊り』をフルートと一緒にデュオで。

今年は、ディアベリ『グランドセレナーデop.95』を、

フルートとヴィオラとのトリオで参加させて頂きました。


 初めて先生に室内楽のお話しを頂いた時、

そもそも、室内楽と管弦楽の違いもよく分かっていませんでした。

違いを調べてみて自分なりに簡単に解釈してみると、

まず、室内楽は少人数、管弦楽は大勢で。

また、室内楽は一般的には1人ずつパート譜が違い、


 管弦楽だと複数の奏者が同じパート譜を共有すること。

室内楽は、ある意味すべての楽器がソロ楽器で、

独立性が高いと言えるかもしれません。


 私は、ギター独奏以外にも、

現在
アンサンブルヴェルデに参加させて頂いたり、

中学時に部活でギター合奏を経験していたので、

元々複数人で合わせるのは好きですし、

ギター合奏とも共通点があるのではと思い、

また、他楽器との合わせものはなかなか経験できる事ではないので、

ぜひやってみたいと思いました。


 室内楽の練習は、基本先生はノータッチなので、

まず初合わせまでどう練習を進めていったらよいのかを考えました。

まずは、私は室内楽について全くの無知なので、

You Tubeで他の方が演奏しているのを幾つか見つけ、

速度を落としたり変更しながら、

時間がある時は何度も繰り返し見聴きし、曲の雰囲気をつかんだり、

自分だったらどうするかなど考え、曲の構成を把握したり、

曲のイメージを膨らませたりするようにしました。

次に、自分が弾くギターパート以外にも、

フルートとヴィオラのパート部分をピアノで弾いてみて、

メロディーや構成を覚えました。

その後、自分のイメージに一番近いものを聴きながら、

合わせて弾く練習を繰り返ししました。

本来はメトロノームで練習するべきなのかもしれませんが、

今回はあえてメトロノームを殆ど使いませんでした。


 また、初合わせ前の自主練習をしている中で、

普段ギターの練習をしている時と違うと思った事がいつくかありました。

一つ目は、自分が感じているテンポと、

フルートやヴィオラのテンポ感が全く違う事でした。

ギターは他楽器のように速く弾くことは難しい。

逆にフルートはギターのテンポ感に合わせると息が続かなくなってしまうなど、

フルートやヴィオラのテンポ感はかなり速くなかなか合わない。

なので、何度も反復練習して少しでもスピードに慣れることと、

初合わせの時に各楽器が調整し合って、

丁度良いテンポを見つける事が大切だと思いました。

特に今回の曲は、

1楽章は「アンダンテ」「アレグロノンタント」「モデラートコンギュスト」、

2楽章「メヌエット」、

3楽章「ロンド」とテンポがコロコロと変わるので、

しっかりとテンポを決めておかないと大事故に繋がると思いました。


 二つ目は、フルートやヴィオラに比べ、

ギターは減衰する音で音量が圧倒的に小さい。

独奏の時は、そのギターの減衰する音が味だったり、

綺麗だったりするのかもしれないですが、

今回は、室内楽でマイクも使わなので、

音量など他楽器と上手く調和できるようにする為にはどうしたらよいか考えました。

通常ギターのみの演奏時は、

基本フォームはサウンドホールより少し外側で弾くと思いますが、

今回はかなりハード側で弾き、更に普段より右手のタッチを強くし、

他楽器の音で打ち消されないようにしました。

また、せっかく演奏するなら強弱もつけたいと思ったのですが、

ただ右手のタッチの強弱だけだと足りないと思い、

中学時のギター合奏時に培った、

p(弱く)の記号等が楽譜に記している時はソフト側で、

逆にf(強く)等の時はハード側で弾いたりして強弱をつけたり、

また、ハード側で弾く時は、ソフト側で弾く時よりも遠くまで音が届く性質があるので、

ソフトとハードなど右手の弾く位置で音質を変えたり、使い分けしてみました。


 運指についてもギターソロ部分は1から3弦までのナイロン弦は、

音がぼやけがちになってしまい、

フルートやヴィオラの伴奏の方が目立ってしまうので、

ポジション移動のリスクはありますが、

なるべく4から6弦までの巻線弦を使うようにし、

シャープでハッキリした音になるように工夫しました。


 いよいよ初合わせの時、

軽く自己紹介をした後、練習時間は1時間弱しかなかったので、

まずは3人で合わせてみました。

結局、通し練習は1回のみしか出来ず、残り時間は微調整をしました。

最初は、フルートやヴィオラの音に慣れてなく、

自分以外の音を聴きながら合わせるのが大変だったのですが、

しばらくして慣れてくると、

三者で互いの音にのせられるようになってきた感じがしてきて、

それが嬉しくて、室内楽の楽しさが少し分かった気がしました。

また、フルートもヴィオラもプロの方なので、

初トリオである私が足を引っ張ってご迷惑をお掛けしたらどうしようと、

緊張していたのですが、

フルートの優しく綺麗な音色と、

ヴィオラの伸びのある艶やかな音色にすごく癒され、

練習に集中することができ、この素敵な音色を台無しにしてはいけないと、

改めて身の引き締まる思いがしました。


 そして、2回目と3回目のリハは、

残念ながらヴィオラが欠席で、フルートと2人での練習。

自主練習では曲を流して聴きながらの練習をメインに行っていたので、

入るべき箇所に何の音も入らないのになかなか慣れず、

タイミングを合わすのに苦労しました。


 3人での合わせは、練習初日と本番当日リハの2回のみだったので、

室内楽の経験が乏しい私にとっては、かなりのプレッシャーになりました。

しかも当日リハの時に、今までフルートが旋律だったはずの箇所が、

ヴィオラに変更になっている所が数か所あり、

フルートの出だしに合わせようとフルートの息継ぎタイミングを見ていたら、

反対側のヴィオラが弾き始めたりと、

かなりビックリしてスリリングな事もありましたが、

最終的にはそれがフルートとヴィオラの、

オクターブ違っての旋律の掛け合いになっていたり、

面白い感じに仕上がったと思います。

さすがプロは違うなぁ〜と改めて感心しました。


 本番はミスも多々あったと思いますが、

緊張もしていたし必死だったので、

正直上手く弾けていたかよく分かりません。

今後録画したものをしっかりと検証して、

今後に役立てられればと思っています。


 一緒に演奏して下さった方々、聴いて下さった方々、

良い経験をさせて頂き、ありがとうございました。




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