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    >中秋の名月 in China<





 昨日、研究所の同じ部屋にいる中国人の劉が、

「今日(10月5日)は、中国ではフェスティバルなんだ。日本は違うのか。」と尋ねてきました。

はて?何の日だろうと思っていたら、黒板に 「中秋佳節」 と書いて、

「中国では、この日は親類縁者が集まって、

秋の満月を見て再会を喜び合い、

親交を深めるためのフェスティバルなんだ。」と、説明しました。
 
そうか、十五夜か。と気が付き、このときに、「月餅を食べるんだろう。」

と、私が言うと、

「そうだ。そうだ。10cmくらいの丸いお菓子だ。」と、うれしそうに答えたので、

「特に、黒餡の入ったやつがおいしんだよな〜。」と、言いたかったのですが、

「餡子」という英語が頭に浮かばず、説明に苦労していると、

「おまえ、そんなに月餅が食べたいのなら、僕は持っていないけど、

コペンハーゲン市内にある香港人がやっているお店でちょっと高いけど手に入るぞ。」、

と、教えてくれました。

 いや、そこまでして食べたいと思っているわけではないのだけれども、と思いつつ、

デリシャス、デリシャスと笑ってその場をごまかしました。
 
 彼は、電話か何かで中国にいる奥さんからこの日を教えてもらったそうで、

今年は中国の暦で昨日がお盆にあたるそうです。
 
この日は、中国人はみなセンチメンタルになるそうで、

「お前も、今センチメンタルな気持ちになっているのか。」と彼に尋ねると、

「そうだ。」と、答えが返ってきました。

良い話ではありませんか。

遠い異国の地デンマークで、故郷の秋の満月を思い出しながらちょっと、

センチメンタルな気持ちになる。 いいですね〜。


 昨晩は、デンマークでは相変わらず、空は厚い雲に覆われていて、

月など影もありませんでした。

それに、気候はもう秋ではなく、冬ですからね。

日本ですと、 満月、ウサギ、ススキ、そして 団子 か....


1998年10月6日(火)に書く

 



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