神奈川新人ギタリスト
オーディション参加記
=第九回=
〜本選会を聴いて・・・(二)〜
私が出会ったコンクールについて書いてある一説を要約すると、
コンクールに勝つためには、
「コンクール向きの弾き方があり、
その弾き方をしないと勝ち残れない」
しかし、「コンクール向きの弾き方」というのは、
芸術的とか音楽的なこととは方向性が全く違うものだ、
ということです。
コンクールの審査は採点式で決められてしまうため、
いかにミスをしないか、
リズムは正確か、
音は出ているか・・・、
などの項目を一つづつチェックされ、
芸術面より技術面の方を重点的に採点されるのが、
ほとんどだとも言われています。
したがって技術面に優れた人の方が高得点をえることになります。
つまり、高得点イコール音楽性に優れてるということでは、
必ずしもなくなってしまう、
という結果になるわけです。
そして「コンクール向きの弾き方」は、
勝つための一つの手段であって目的ではない。
演奏の本来の目的は、
音楽性を兼ね備えた音楽の喜びや感動を聴く人に伝えること・・・。
それはコンクールで上位入賞するための手段としての演奏とは、
異なる次元のものだ、
と、本の中で述べています。
わたしが本選会で聴いた演奏は、
まさにこの「コンクール向きの弾き方」だったのでした。
いかに音やリズムを正確に弾くか、
ミスをしないようになど、
技術優先の採点方式に合わせた弾き方。
(もちろん技術も大事ではありますが・・・)
音楽性はどこかに行ってしまい、
いかに多く点数を取るかという方面に注意が向いてる演奏。
そのために表現力には欠ける演奏になってしまった、
というのがよく分かりました。
入賞しようとすれば音楽性は二の次になってしまうとういう矛盾が、
この本選会でも起こっていたのでした。=つづく=
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