神奈川新人ギタリスト
オーディション参加記
=第五回=
この会場のホールはどんな響きがするんだろう・・・???
それが分からないので弾く前から不安でした。
初めてのオーディション、
初めての会場、
何もかもが新鮮・・・、
どころではなく不安で満ち溢れていました。
弾き始めると想像以上に音の響きのよいホールでした。
このことが追い風となって、
大きなミスもなく止まらずに二曲とも弾くことが出来ました。
しかし、響きが良いホールというのは音量の調節が難しく、
二曲目を弾いているころに、
やっと響きに慣れてきたかなという状態でした。
毎年同じ会場なので二回以上挑戦している人には、
ホールの特徴などは分かっていていいかもしれませんが、
初めての人にはリハーサルなしで弾くことは、
なんとも過酷な条件でした。
また、課題曲ですが、
全員同じ曲を演奏しているというのは、
精神的にどんなにプレッシャーになるかがよくわかりました。
周りの人、
特に前に引く人の演奏に影響されずに、
いかに自分本来の練習した通りの演奏を、
本番でできるかが大事です。
実際に直前に前の人の演奏を聴いていて、
自由曲は自分の曲とは違うので、
どのように弾こうと大して気になりませんでしたが、
課題曲では、
ある個所でミスタッチをすると気になってしまい、
自分の番になると、
自分は間違わずに弾けるかな・・・???
と、不安になり慎重になってしまいました。
このような状況になると、
本来の演奏をするというのはとても困難なことです。
オーディションの舞台というのは発表会とも違う、
独特の雰囲気でした。
聴いてる人もまるで置物のようにじっとして動かないという感じで、
そのくらい真剣に聴いてくださってる気配が感じられました。
演奏が終わって舞台から退場する時の瞬間、
緊張の糸が一気にほどけたように力が抜けて行きました。
もしも本選でもう一度弾くことになっても、
もう弾けないかもしれない・・・、
と、思うほど力が抜けて行きました。 =つづく=
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