譜面台の陰から


                   >暗譜について<


 暑さ厳しい夏ですが8月も終わりにきて、

日が短くなってきたのを感じますね。

暑い暑いとは言っても秋は必ずやってきます。

もう少しの辛抱でしょうか・・・。

 楽譜を暗譜する。

楽器を演奏していると必ずぶつかる難問ではあります。

楽譜を覚えて演奏するというのは、

なかなか労力のいることですが、

覚えて演奏しないと、

なかなかスムーズな流れにならないところはなかなか厳しいところ。

楽譜を覚えて弾くということはどういうメカニズムになっているんだろう・・・。

 人間の記憶というのはよくできていて、

長期に覚えていないといけないことと、

短期に覚えてればいいことを区別してるんですね。

短期記憶というのは例えば混雑する駅で人をたくさん認識しても、

すぐに忘れてしまいますよね。

この短期記憶というのは、

2~3秒しか覚えてはいないということです。

長期に記憶しておかないといけないということになると、

見た感覚と印象など情緒的なことを取り入れて、

記憶しようとするんですね。

短期記憶を長期記憶に返還していこうとする作業です。

人間のぬはそういうことを繰り返しながら、

記憶をコントロールしてるんですね。

 例えば演奏しようとする楽譜を開いて、

五線に書かれた音符を見ます。

見ただけでは楽譜を閉じればすぐに忘れてしまいます。

ひらいた楽譜を覚えていこうとすると、

ギターを弾くという手続きが必要になってきますよね。

しかし、ただ音符をなぞっただけでは、

まったく記憶することはできないですよね。

記憶していくには音符の持っている性格を分析して、

その長さ、高さをつないで、

情緒的な刺激を得ないといけないですね。

人間というのは情緒的な刺激というのは、

意外に長く覚えているものです。

逆に情緒的に反応しない類のメロディーには、

淡白な反応かできないわけです。

そこに記憶の濃淡が生まれるわけですね。

曲の記憶をたどっていくと非常によく出てくる個所と、

同じ練習量だと認識しているのに、

よく出てこない箇所ってありますよね

なぜかということになりま

そこには、やはり記憶の濃淡というのが、

存在してるというのがわかります。

その濃淡のある記憶を同じ平坦にして、

覚えていくにはどうしたらいいのか

非常に単純なことではありますが、

自分にとって旋律の記憶の濃淡を、

チェックしていくということになります。

一曲の中には必ず旋律に自分の情緒に強く残るところと、

そうでもないところが存在してます。

そのタンパクにしか残らない部分を抜き出せるかどうかが、

暗譜には非常に大きなポイントになってきます。

では、淡白な旋律の部分をしっかり記憶にとどめていくには、

どうしたらいいかということが問題になります。

淡白な記憶を濃度の高い記憶にするには、

手続きが必要になります。

淡白な部分に物語性を持たせると、

そこには強い印象が生まれます。

強い印象を持たせられた部分は、

強い記憶へと変化していきます。

その作業を繰り返していけば、

全体をまんべんなく平均に覚えることができるのです。

その覚えた曲をさらに長期の記憶にとどめるには、

さらに強い刺激が必要となります。

それが人前で演奏するということにつながります。

より強い印象を受けたことというのは、

人間なかなか忘れないものです。

では、なぜ強い刺激を与えたにもかかわらず、

全体を思い出すことができないのでしょうか、

そこには、やはり記憶の濃淡が存在してるんですね。

どんなに平均化して覚えても人間というのは完全ではないということです。

しかし、平均化という作業を受けている曲は、

全体を思い出す時間的効率はいいのです。

暗譜というのは、その曲に自分の持っているエピソードを、

落とし込んでいくという作業なんですね。

旋律の中にある濃うと淡をいかにうまく抜き出して覚えていくか、

ただ楽譜に向かっても全部同じようには暗譜はできないんですね。

また暗譜した曲を長期記憶にしていくには、

エピソードが必要だということです。

まったく同じ状況、条件で演奏するということはまずないですね。

そこに一曲づつのエピソードが生まれてるわけです。

そのエピソードによって記憶している曲の濃淡は、

決まってくるということですね。

これから芸術の秋に入っていきますね。

少し楽譜を覚えるということに考えをめぐらしてもいいかもしれない。

けっこう一人一人違ったエピソードを持った暗譜が、

行われるんじゃないかと思います。


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